■平成23年9月11日 帝王(テイオウ) カマリネススルー (カマリネススルーオオヒラタ)の蛹 |
このフリピン産のヒラタクワガタは産地の名をとって
数年前にカマリネススルーオオヒラタとして流通し
ていた。ルソン島に生息するオオヒラタはブームに
伴って一時は激しく我国に輸入され、愛好家の間で
細かく分類されるようになった。
その中でも、大アゴ内歯の上がったものはテイオウ
ヒラタと呼ばれるようになり、その人気は絶えない。
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このテイオウヒラタは最大で10cmを超える大きさ
をほこり、フィリピンのパラワン島に生息する世界
最大のヒラタクワガタ、パラワンオオヒラタに次ぐ大
型種の1つにも数えられている程である。 私自身
も過去にこのカマリネススルー産のオオヒラタを10
cmを少し超える大きな固体を羽化させた経験があ
り、今日まで大切に累代飼育を続けている。
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■H23年,9月20日 午後7時30分 撮影
上の写真より9日後のようすです。 もうすっかり頭
部は赤茶色く色づいて、頭の部分や大あごの形が
薄い膜のような皮膚を透して確認できますね。
後脚(こうきゃく)の先をよく見ると、ふ節もわかりま
す。 もう親になる準備は殆ど整ったようです。
いよいよ彼にとって一生で最も大切で、気の抜けな
い瞬間、羽化が間近まで迫っているのです。
果たして無事に親になることができるでしょうか。
途中、力尽きてしまったり。羽化に失敗することさへ
あります。がんばって羽化を無事済ませても、後に
内臓に機能障害が起こって、数時間後に死んでし
まうこともあります。言わば全く形の違った物に生ま
れ変わる訳ですから、とても大変な事なのでしょう。
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蛹室が完成すると幼虫は徐々に動かなくなります。
やがて身体が伸びきり前蛹になって、その後、脱皮
をして蛹に変態します。頭と背中が割れて幼虫の時
期とは全く形の違う姿が現れます。皮を脱いだばか
りの蛹は卵形にちぢかまった状態です。いきなり写
真の様なりっぱなクワガタ虫の形の蛹が出てくるの
ではありません。解り易く云うとぬいぐるみのタマち
ゃんのような円くて可愛らしい姿をしています。
何とも云いがたい白く透き通った蛹の中身は幼虫の
身体がドロドロに溶けた液体になっていて、とても
神秘的で美しく思います。やがて少しづつ時間を掛
けて、蛹はだんだん大きく膨らむように立派なクワ
ガタ虫の形へと成って行きます。私がこれまで幾度
も目の当りにして来た光景をお話しいたしました。
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■H23年9月22日 午後3時45分 撮影
用事があり店に出るのが遅くなってしまいました。
いつものように昼過ぎに着ていれば羽化を最初か
ら撮影できたのに残念です。
昨夜、帰る前の午後10時頃に確認しましたが、変
わりはありませんでした。開店の準備を手短に済ま
せた後に確認した時にはすでにこの状態でした。
右写真の下翅の脇から見える白い部分が腹部です
。この腹部が上翅に隠れるように収まるまでには数
日を要します。実はこのヒラタクワガタが収まってい
るのは、人口蛹室(じんこうようしつ)で私が撮影用
に作りました。 ミニケースを利用して菌糸かすを固
めただけのものです。 前蛹寸前の幼虫を蛹室から
取り出してクワガタ虫の気持ちに成りきり羽化に適
した部屋を設計したのです。 ですが、その努力も
空しく瞬間を撮影することは出来ませんでした。
羽化は、ふ節が微かに動き始め、そして脚が自由
になると蛹室の壁を引っかいて器用に身体背中を
上にします。背中が床に接していると上翅が綺麗に
伸びません。俗にいうハネパカになってしまいます。
そして、白くて柔らかそうな上翅はだんだん伸びて
行き、やがて白く美しい半透明の膜のようになって
透けていて下翅が見えます。頭部は未だ御辞儀を
した格好で折れ曲がっています。
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■H23年9月22日 午後3時45分 撮影↑上
下翅がきれいに伸びるころから徐々に頭を上げてき
ます。 私は初めて羽化の一部始終を観察した時は
、御辞儀をしたまま固まってしまうのではないかと心
配しました。よくよく考えるとこれは実に良く出来てい
ます。下翅を伸ばし終わた後に、頭を真っ直ぐする
方が狭い蛹室を広く使えるからです。
■H23年9月23日 午後5時頃に撮影 ↑上
下翅は綺麗に納められていました。
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■H23年9月27日 午後9時に撮影 ↑上
ご覧の様に、あれだけはみ出していた腹部は縮ん
でずいぶん小さくなったでしょう!もう少しで上翅の
内にきれいに収まりそうですね。
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