■H23年6月30日 フローレスニセヒメカブト 7月22日に一部記事修正 |
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羽化して間もないニセヒメカブト フローレスニセヒメカブトは卵から成虫になるまでに必要とする期間は約1年と、外国産カブト虫のなかでは非常に短く、飼育者にとっては気軽に飼育できるとあってこの仲間は以外に人気が高い。 そのなかでもこのフローレスニセヒメカブトは体格が良く、略、日本のカブトムシと同じぐらいの大きさである。この種も熱帯産のカブトムシであるため、飼育者は冬季15℃以上の飼育環境を用意する必要がある。 |
■こちらはニセヒメカブト♀の蛹 この♀は飼育マットの上で蛹化した為に、この撮影の後、トイレットペーパーの芯を再利用して人口蛹室の代わりとしました。この仲間は日本のカブトムシと同様に縦に蛹室を造ります。私は不注意で国産カブトムシの蛹室を壊してしまった時は、トイレットペーパーの芯に蛹を入れてマットに突き刺すなどして倒れないように固定し、首尾よく羽化させます。 この蛹は国産カブトムシと略体格が変わらないため、トイレットペーパー法を試してみます。 |
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■この写真@をよく観てください。下翅がまだ少しだけ上翅からのぞいているだけですね。実はこの♂は飼育ケースの外から見えるところで蛹室を造っていた為、私は毎日観察していました。今日の夕がた、真っ白な翅に気づき、そっと蛹室からとり出しました。 とり出した時はまだ上翅が半分ぐらい開いていて、その隙間から腹の部分が見えていました。 バカなことだと思いましたが、私は上翅の左右をおや指とひとさし指で軽く摘んで、綴じるのを手伝ってみました。初めての経験でしたが、以外に容易く翅先の近くまで左右が閉じていきます。 でも終わりの数ミリはさすがに厳しそうなので、手を出さず見守ることにしました。でも、ものの数分で翅先まで綺麗に閉じてしまいました。驚きました。 |
■写真A:写真@から33分後に撮影 写真@と比べると随分、下翅が伸びていますね。 上翅が閉じると、今度はちじんでいた下翅に血液をおくりこみ伸ばします。僅か33分で随分と下翅が伸びたことが写真から理解できますね。子供の頃に羽化を観察した、トンボやセミ(不完全変態の昆虫)、それに完全変態の昆虫の蝶なども羽化は4枚の翅を略同時に伸ばしていたように記憶しています。私はカブトムシの仲間は永い年月をかけ、羽化の際、上下翅に段階的に血液を送り込むことが出来るようになったことで、これほど頑丈な上翅を獲得できたのではないかと考えています。 あくまで個人の想像です。
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■写真B:写真Aから43分後 がんばれ! 短い時間ですが、写真Aと比べると随分下翅が伸びましたね。 腹をちぢめたりのばしたりして必死に血液を送り込んでいます。身体の重たいカブトムシの仲間(甲虫)は丈夫で大きな翅を持っています。
ちょうやトンボがグライダーや飛行機だとしたら、カブトムシは戦車や装甲車が空を飛んでいるみたいなものですから、丈夫な翅だけではなく強靭な筋肉が必要です。またその筋肉エンジンをフル稼動させられるエネルギーの供給も必要なのですから、私は昆虫のもつテクノロジーの凄さには関心しています。
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■写真C:写真Bから1時間52分後に撮影 下翅もしっかりのびきったことを確信したのでしょう。あれほど頑張ってきばっていたのに、もう腹はひくひくさせずに落ちついてしまいました。翅の色も白から黄色、そして柿茶色へと徐々に濃くなってきましたね。このカブトムシもホっと一息ついているのでしょう。羽化は彼らにとってとても大切なことなのです。下翅がちぢれてしまえば飛ぶことができませんし、上翅だってきちっと綴(と)じていないと餌場や♀をめぐって他の♂と戦うときや、天敵に襲われたときには軟らかい腹を傷つけられ命を落とすことになります。
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■写真D:写真Cから約一時間後に撮
一休みしたあと納得がいったのか下翅は折りたたまれ上翅と腹の間にきれいに納められています。これで羽化は無事終りました。あとは体内に蓄えられた養分から栄養を摂りながら、身体が完全に固まるのをじっと待つことになります。カブトムシの仲間は種類によって異なりますが、羽化の後、数週間から数ヶ月の間は蛹室に留ます。日本のカブトムシでは、その多くは羽化の後、一月ぐらい、もしくは一月未満で蛹室を壊して野外に出ます。 このヒメカブトムシの仲間もそれに近い生態だと思います。
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■写真E:写真Dから約一時間後に撮影 上翅の1.5倍以上もある大きな下翅は二つおりにされ大切に納められています。そうしないと土にもぐるときや、樹上を歩くさいに邪魔になり傷めてしまうからです。カブトムシの下翅には太く頑丈な脈が先まではしっていて、キチン質でできた薄く大きな膜の翼を支えています。この脈はプラスチック製品のようにとてもかたくて丈夫にできていて、少し折り曲げてたぐらいでは「ポキッ」と折れてしまうことはありまん。 重たいカブトムシが空を飛ぶためには大きな浮力が必要です。 その為に立派な翼を持っているのです。
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