■ギンヤンマのヤゴ(終齢幼虫です)
平成22年5月18日貴志川市近郊にて4頭を採集
■ギンヤンマのヤゴの観察
昆虫少年(私)の野外における観察では、ギンヤンマのヤゴは主に夜間、活発に動き回って他の水生昆虫を捕食する。昼間はあまり動かず周囲に溶け込んで目立つことはない。 飼育下での観察では、水槽の底に隠れ家として沈めてある流れ木を持ち上げ水から出しても、写真のようにへばり付いたままじっとして動こうとはしない。 そのためまるで木片の一部の様に見える。少し指で触れたぐらいでは動こうとはせず、あえて木片の一部に成り切ることで危機をやり過ごそうとする。この習性は、動くものに反応する多くの天敵に対し、非常に好都合である。
■羽化して間もないギンヤンマの♀(めす)
「簡単に言うと腹のつけ根が緑色が♀で水色では♂になります。」
□5月22日羽化第一号:♀体長約71ミリ
翅を広げた大きさ約105ミリ□
じっくり観察すると、まるで風の抵抗を極限まで計算尽くされたような体形には驚きます。私は航空力学に興味を持ったことはありません。しかし航空力学を学んだことがある人が、生きたギンヤンマを手にとってじっくり眺めたらどう思うでしょう。しかも飛行時には風の抵抗を避けるために脚を全て畳んで体にピタリと付けるのです。すごいですね。
■さようなら!ごくろさま!ギンヤンマ
5月22日 夜9時ごろ 第一号を採集地の池の近くの草原に帰した時のスナップです。「ありがとうね、ギンヤンマ」
昨夜6月4日、10時ごろ第3号♀を帰してきました。 その序でにヒメボタルの観察と水生昆虫の観察、そして雑木林の樹液回りです。そろそろ昆虫少年にとって忙しい季節となりました。
本日も第4号♀が羽化していました。今夜も店が終えたら帰しに行ってきます。
■ヒメボタル♂平成22年5月21日 撮影
ヒメボタルの観察を5月18日よりはじめました。
5月18日初日 5月21日2回目 5月22日3回目
6月4日4回目 6月5日5回目
後日、詳細を報告予定
■飛立つ瞬間のヒメボタル♂ 平成22年6月5日
|
■ギンヤンマ・ヤゴの飼育風景 店に設置
市販の小型ポンプで空気を送っています。
■ギンヤンマ・ヤゴの抜け殻(第一号)5月22日
第一号が早速、綺麗に羽化していました。 ヤゴは夜間、水辺の岩や植物の茎、水に浮かぶ木や水面から突き出た木片によじ登り、水面から数十センチ離れ、脚をしっかり固定させて脱皮します。
翌日の朝、気温が上がる頃には羽もかたまり飛び立つと云われています。私のギンヤンマ飼育下での観察では今日の最後の4頭目/6月5日、(内1頭・2号/6月1日は羽化の途中で墜落して羽化不全、看護虚しく翌日に死亡する)以外は3頭とも昼頃から少しずつ翅を震わせ始め、実際に飛び上がったのは昼の3時前後でした。死んだのは唯一の♂でした。可愛そうに思います。
■ギンヤンマを正面から観察
あらためて頭部を正面から見ると、眼(複眼)の大きさに驚くでしょう!頭の大半が個眼の集合で覆われています。真ん中の白ぽく見えるとこだけが眼ではなく、写真では判り辛いですが、その上部に単眼と触角があります。白ぽく見えるところの下の方には口があり、肉食の鋭いアゴがあります。飛びながら小さな昆虫を脚で捕まえて食べるのです。そのためとても眼が発達しているのです。頭部先端の白いところは指でそっと触ると少し軟らかい?気もしますがなんなんでしょうね?
私は不思議に思います。前面眼の方が遥かに視界は良いはずなのに?どうしてこんなものが必要なのか?しかも眼より前方に突き出ているし!?
そこで私はこう考えました。この部分は異様に大きな眼を保護する役割りを果たしているのではないのかと。 例えば、獲物を捕まえる際、猛スピードでアタックするのですから、毎回、首尾よく脚でキャッチできるわけではないでしょう。相手も食われまいと必死で襲撃を避けようとしますから、狙いが外れて衝突することもあるのではないかと。そんな時に大切な眼を守る保護具の役割りを果たしているのではないかと。あくまで想像です。
■平成23年6月5日 夜10時過ぎ頃に撮影
この池では1年ほど前に淵の一部を工事した為に一度、水を抜いてしまいました。 それ以前は外来種であるブラックバスを目当てに訪れた釣り人がルアー釣りを楽しむ姿をしばしば見かけました。 今は魚の居なくなった池。 岸に釣り人が残していった錆びたルアーと絡まった釣り糸が、かつてこの池にも獰猛な肉食魚が泳いでいたことをただ静かに物語っています。 この池では数日に及ぶ観察でもフナ・コイ・カメ・ヌマエビといった生物は確認していません。 天敵の居なくなった池はまさに大きな水たまり。 水生昆虫の宝庫と化しています。水際に茂る植物の根もとをひと救いするだけでも写真のように糸トンボのヤゴ8匹とトンボ科のヤゴ(アカネの仲間)1匹が入っていました。 そのほか、こみずむし・ひめみずかまきり・小さなゲンゴロウの仲間も見ることが出来ます。 この大きな水たまりでは、水中で暮らす生物の中ではギンヤンマのヤゴを捕食するほど大きな生物は棲んでいる様子はありません。 今のところギンヤンマのヤゴは食物連鎖の頂点の座を獲得出来ているようです。
■食物連鎖の頂点に経ったギンヤンマのヤゴ■
この池ではざっと1メートル四方のエリアにギンヤンマのヤゴが2〜3匹、多いところでは4〜5匹も確認が出来ます。浅瀬に立ってライトを照らしながら、タモですくい取ることも容易で警戒心が少し鈍いようにも感じます。 糸トンボのヤゴやトンボ科の中型のヤゴを捕らえて、コンクリート底の浅瀬で身を隠すことも無く、堂々とムシャムシャ食べる姿はまさに恐れを知らぬ証であるかのようです。 いずれまたこの池にも獰猛な外来種であるブラックバスやブルーギルといった肉食魚が泳ぐ日が来るのかも知れません。
かつて和歌山市内やその近郊で、クヌギ林に沢山いたオオムラサキは、今はその姿を見ることはありまん。 ギンヤンマもまた近年、その数を減らしつつある昆虫です。 水生昆虫の宝庫であるこの池に再び釣りを楽しむ目的だけに、ブラックバスが放されることがないように祈っています。
|